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1.92023
相続欠格と相続廃除とは?二つの違いや注意点も解説いたします

相続欠格と相続廃除、似ている言葉だけど違いは何だろう?
トラブルが起きた時に使えるのかな?
注意点が知りたい・・・
とお悩みではありませんか?
この記事では、相続欠格と相続廃除、それぞれの意味や注意点を解説していますので、二つ違いや自分の家族に関係あるのか分かります。
後見・相続・遺言書作成を主な業務とする行政書士の私が、説明いたします。
相続欠格とは

相続欠格とは、亡くなった人の財産を受け継ぐことができる人(配偶者や子供)にもかかわらず、その権利がなくなることです。
ではどういった場合に、相続権がなくなるのでしょう?
それは、民法という法律に書かれています。
第891条
次に掲げる者は、相続人となることができない。一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者
民法
分かりにくいですよね?
簡単に説明すると、相続人が、被相続人(亡くなった人)を殺したり、無理やり遺言書を書かせたりすると、相続人としての資格がなくなってしまうのです。
注意点としては、遺言書を無理やり書かせたり、実際にあった遺言書を捨ててしまたっりしても、それを証明するのが難しいのではないかな、と個人的には思います。
相続廃除とは

相続廃除とは、相続人から除外することができる制度です。
第892条
民法
遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
難しく書かれていますが、簡単に説明します。
亡くなった人が、相続人となるべき人から、生前に虐待をされたり、名誉を傷つけられたりなど重大な侮辱を受けた場合、その人を相続人から外すことができるということです。
ただ、勝手に相続人から外せるわけではなくて、家庭裁判所に請求して、相続人から外すことを認めてもらう必要があります。
「認めてもらう」といっても、どれくらいが侮辱でどの程度が虐待なのか?という難しい問題があります。
「お父さん最低!大嫌い!」などと言われたり、親子喧嘩をしたり・・くらいでは、認められいようです。
認められたものとしては、子供が借金をして、その借金を父親が繰り返し肩代わりをして返済をしていた、というケースは認められたことがあるようです。
相続廃除の仕方は、自分が死ぬ前にしてもいいし、遺言で排除する意思を表示しても構いません。
ただどちらにせよ、家庭裁判所で認められる必要があるので、ハードルは高いかと思われます。
兄弟姉妹は相続廃除できない

2章でご説明した相続廃除ですが、兄弟姉妹は相続廃除することができません。
民法という法律に、「遺留分を有する推定相続人が虐待等をした場合に、相続廃除を請求できる」と書かれているからです。
逆を言えば、遺留分がない推定相続人は相続廃除できないということですね。
遺留分とは、「最低限保証される遺産」のことです。
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配偶者や子供、親にはこの遺留分があるので、たとえ遺言書で「子供には相続させない!」と書かれていても、最低限の遺産はもらうことができます。
でも兄弟姉妹にはこの遺留分がありません。
なので、遺言書で「お兄さんには相続させない!」と書けば、お兄さんの分け前は0円になります。
となると、兄弟姉妹をわざわざ相続廃除しなくても、遺言書で「相続させない」等と書いておけば分け前は0円なので、兄弟姉妹には相続廃除という制度がなくてもいいということです。
まとめ
今日は、相続欠格と相続廃除について解説してきました。
大事なポイントをまとめると次の通りです。
・相続廃除とは、相続人から除外することができる制度
・兄弟姉妹は相続廃除することができない
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