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1.52023
飼い主が亡くなった後のペットはどうなる?!【ペットに財産を残す方法】

自分が死んだ後のペットのことが心配・・
誰か面倒を見てくれないかな?
自分が亡くなったあとも、約束通り飼育してくれるかな?
とお悩みではありませんか?
この記事では、ペットに財産を残す方法を3つのお伝えしていきます。
といっても、日本では民法という法律の中で、動物は「モノ」として扱われていますので、ペットに財産を相続することができないのが大前提です。
では、大切な猫や犬のために財産を使うにはどうしたら良いか? それは、ペットを引き取って飼育をしてくれるよう、知人や団体と話し合い、契約をしておくしか方法はありません。
今回は、知人や団体に財産を渡して、ペットを飼育してくれる方法を、後見・相続・遺言書作成を主な業務とする行政書士の私が、説明いたします。
負担付遺贈

まず一つ目の方法は、「負担付遺贈」です。
簡単に言うと、「私が亡くなったあと、私のペットの面倒を見てね!その代わりに私の財産を渡すよ!」ということです。
民法という法律にも、この「負担付遺贈」の条文があります。
第1002条
民法
負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。
難しく書かれていますが、「一定の条件と引き換えに財産をあげますよ~」という内容なので、「ペットを引き取って飼育をすること」を条件に財産をあげることができるのです。
この話し合いをいつするかというと、遺言書で行う必要があります。
ですので、話し合いではなくて、遺言書を書く人の一方的な意思表示でOKなのです。
が、ここで注意が必要です。
遺贈を受ける人は、「ペットの飼育はしない!その代わり財産もいらない!」と拒否することができるのです。
第986条
民法
受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる。
なので、一方的な意思のみで遺言書を作ることはできますが、遺言書を書く前にあらかじめ承諾をもらっておく方が安心ですね。
また、遺言書で「遺言執行者」を指定しておくことも大切です。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現する人のことです。
この遺言執行者を決めておくと、受遺者がきちんとペットの面倒をみてくれているか確認してくれますし、もし受遺者が約束を守っていなかったら、きちんと面倒をみるように請求することもできます。
家族同様の大事なペットですので、安心できる方法が一番です。
負担付死因贈与

二つ目の方法は、「負担付死因贈与」です。
簡単に言うと、「ペットを引き取って飼育をしてね!その代わり財産をあげますよ!」と約束をすることです。
負担付遺贈と似ていますが、大きな違いがあります。
負担付遺贈は一方的な意思表示でOKでしたが、負担付死因贈与は、「ペットを引き取って飼育をしてくれることを条件に、遺産を贈与しますよ」という契約を結ぶ必要があります。
また、負担付遺贈は「ペットの飼育はしない!その代わり財産ももらわない!」と拒否することができました。
が、負担付死因贈与は、財産をあげる人と財産をもらう人のお互いの合意による契約なので、取り決めた約束事を守る必要があります。
つまり、財産をもらう人は、契約の内容を変えたり約束を破ることはできないのです。
お互いの合意の上で契約書を作るのであれば、安心ですね。
ただ、「新しい飼い主がどこまで飼育をしてくれているのか?」「受け取った財産できちんと飼育をしてくれているのか?」は分かりません。
理由は、誰も監視する人がいないからです。
民事信託(ペット信託)

3つ目の方法は、民事信託です。
ペット信託とも呼ばれていて、まだ認知度は高くありません。
ペット信託とは、信用できる人や団体との間で、「こういうことをしてくださいね!」という契約書を作り、財産の管理をお願いします。
任された人は、その財産の中からペットの管理や飼育を行うというものです。
負担付遺贈と負担付死因贈与との違う点としては、約束した通りにきちんと飼育をしているかを監督してくれる、「信託監督人」を設定することができる点です。
その他にも、ペットが亡くなった時点で、残りの財産をどのように処分するかを指定することができます。
メリットが多い方法ですが、デメリットもあります。
それは、負担付遺贈と負担付死因贈与と比べて費用が高額になることです。
具体的には、民事信託の設定や契約書の作成には数十万~。
信託監督人には内容にもよりますが、月々数万~数十万円かかると言われています。
まとめ
今日は、ペットに財産を残す方法をお伝えしました。
大事なポイントをまとめると、次のとおりです。
・「ペットを引き取って飼育をしてくれることを条件に、遺産を贈与しますよ」という契約を結ぶことができる
・ペット信託とは、その財産の中からペットの管理や飼育を行う
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