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4.102021
会社を設立するなら株式会社と合同会社はどちらがいい?2つの違いは?

「株式会社と合同会社の違いを知りたい」、「どの形態で設立すればいいか分からない」
そんな悩みにお答えします。
この記事を読むと、株式会社と合同会社の違いや、合同会社のことを知ることができ、自分に合った形態の会社設立をすることができます。
この記事を書いた私は、令和元年11月に熊本県八代市で行政書士として独立開業しました。
開業当初から、企業の専門家として会社設立に力を入れています。
そんな私が、合同会社についてお伝えしていきます。
合同会社とは?
会社を設立しようと考えた時に、「株式会社」をパッと思い浮かべる人が多いかと思います。
現在、設立することができる会社は「株式会社」を含めて「合同会社」、「合資会社」、「合名会社」の4種類です。
合同会社(LLC)は、2006年5月に施行された会社法によって生まれた新しい会社形態です。
いまだに一般的なのは株式会社で、設立件数の数も多いですが、合同会社の設立件数も年々増加傾向にあります。増加の理由は、合同会社設立には次のようなメリットがあるからだと考えられます。
- 設立費用が安い
- 有限責任
- 出資者が経営者
- 利益配分が自由
②は、負債を抱えて破綻した場合、出資者は出資金を失いますが、それ以上の負債に対して責任を負う必要はありません。
③は、出資者と経営者の関係です。合同会社の場合、出資者が経営者になります。そのため経営方針を株主総会で決めたり、といったことが不要になるので素早い経営を行うことができます。
④は、出資金額にかかわらず均等に配分することが可能です。
合同会社のデメリットとして、①株式会社に比べるとまだ認知度が低く信用を得にくい、②多くの社員が権限をもつ、③代表社員の継承、事業継承、出資者の権利譲渡を行う場合、社員全員の同意が必要、などが挙げられます。
メリット・デメリットを考慮して、決めていくとよいでしょう。
設立の手順
合同会社設立の流れは、株式会社設立と大体同じですが、大きく異なるのは合同会社では定款の認証が不要な点です。
定款の作成
社員になろうとする者は、定款を作成して全員が署名又は記名押印しなければなりません。
定款には①目的、②商号、③本店所在地、④社員の氏名又は名称及び住所、⑤社員の全部を有限責任社員にする旨、⑥社員の出資の目的及びその価額を記載する必要があります。
その他に、①決めても決めなくてもよいけれど、決めたなら定款に記載しないと有効にならない事項、②記載がなくても定款全体が無効になることはないが、定めがないと、その事項の効力が認められない事項などを記載できます。
会社印をつくる
合同会社の代表者は、代表取締役ではなく「代表社員」になります。
代表印は登記所に登記申請をする前に作っておきましょう。
印鑑証明を取得する
代表社員が、市区町村役場で個人の印鑑証明書を取得します。この印鑑登録証明書は、登記申請書類に添付するために必要です。
出資金の払い込み
各社員は、定款作成後設立登記までに出資の全額を実行しなければなりません。
具体的には、出資金を銀行等に払い込んで、払込がされた預金通帳をコピーしておきます。
「払込があったことを証する書面」も、作っておきましょう。
設立登記
設立登記申請は、本店所在地を管轄する法務局に対して行います。
決定書、資本金証明書、設立登記申請書、印鑑届出書などを作成し、提出します。
本人申請のほか、会社の事務員や司法書士などの代理人による代理申請も可能です。その場合は、委任状を忘れずに準備しましょう。
株式会社と合同会社のちがい
合同会社 | 株式会社 | |
所有と経営の分離 | 所有者(出資者)と経営者の一致が基本。 | 分離している。所有者(株主)は必ずしも経営者ではない。 |
設立費用 | 最小費用6万円。 印紙代・・4万円(電子定款の場合0円) 定款の認証・・0円 設立登記の登録免許税・・6万円 |
最小費用15万円。 印紙代・・4万円(電子定款の場合0円) 定款の認証・・5万円 設立登記の登録免許税・・15万円 |
機関設計 | 期間を置かなくてもよい。 | 最低でも、株主総会と取締役1名は必要。 |
利益配分 | 定款で自由に設定できる。 | 出資比率に応じる。 |
決算公告義務 | なし。 | あり。 |
代表者 | 代表社員 | 代表取締役 |
信用・認知度 | 株式会社に比べると低い。 | 高い。 |
合同会社と株式会社では、出資者全員が有限責任で共に法人格があるので、契約や税金などでは特に違いはありません。
費用面だけを考えると、株式会社に比べ割安なので、初めて会社を経営する人にとっては嬉しい会社形態だといえます。
まとめ
今回は、合同会社を中心に解説しました。
大事なポイントをまとめると、次のとおりです。
- 合同会社は増加傾向にある
- 定款の認証が不要
- 設立費用は株式会社より安い
合同会社は、小さな会社を設立したい人や、リーズナブルな価格で起業したい人におすすめです。
ほかにも、①同業者にはどちらが多いか、②費用をとにかく抑えたいのか、③単に取引先の関係で法人口座が必要なだけか、などを考慮して、合同会社にするかどうかを決めればよいでしょう。