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12.92022
任意後見契約を結んだらいつから後見業務はスタートする?気になる費用も解説

任意後見と法定後見は何が違うの?
後見人はいつからサポートしてくれるんだろう
費用はいくらくらいかかるかな・・
と、お悩みではありませんか?
この記事では、任意後見制度の詳細や費用について解説していますので、自分や家族に任意後見が必要かどうか、いつ頃契約を結べば良いか、判断することができます。
任意後見制度について、後見・相続・遺言を主な業務とする行政書士の私が、説明いたします。
目次
任意後見制度とは?

認知症の方や障害者など、判断能力が低下している方の財産や身の回りのことをサポートする制度として、「後見人制度」というものがあります。
判断能力が低下している人に、後見人や保佐人・補助人といった人を付けて、本人に代わって財産を管理したり契約を結んだりしてくれるのです。
この後見人制度には、法定後見と任意後見の2種類があります。
2つの違いを簡単に説明しますと、「既に判断能力が低下しているときに使う制度が法定後見」、「将来、判断能力が低下したときのために、元気なうちに結んでおくのが任意後見」です。
法定後見の場合、後見人を選ぶのは裁判所になります。
家族や友人がなろうとしても、財産状況次第では選ばれることはありません。
では誰が後見人になるかというと、弁護士や司法書士・社会福祉士などの専門家が選ばれることが多いです。
つまり、自分や家族が知らない人が後見人になるということです。
そして、裁判所が決めた報酬を支払う必要があります。
一方で任意後見は、自分の家族や友人・自分の信頼できる人など、好きな人を任意後見人に選ぶことができます。
報酬を決めるのも自由なので、家族が任意後見人になる場合は、報酬0円と設定されることが多いです。
任意後見の流れ

任意後見を利用する流れは、大きく分けると①公正証書での任意後見契約を結ぶ、②任意後見契約内容の登記、③家庭裁判所への任意後見監督人の選任申立て、④効力の発生、です。
分かりやすく解説していきますので、順番に確認してみましょう。
①公正証書での任意後見契約を結ぶ
本人の判断能力がしっかりしていて体も元気なうちに、自分の信頼できる人(支援をしてくれる人に、特別な資格や免許などは必要ありません。)と支援の内容を決めます。
自分の要望も、しっかり伝えましょう。
内容が決定したら、公証役場(全国にある法務省が管轄する機関)で公正証書の原稿を作ってもらいます。
原稿が完成したら、決められた日に、本人と支援をする人が公証役場へ行き、内容を確認します。
熊本公証人合同役場では、公証人が公正証書を読み上げます。
内容に問題がなければ、署名と押印をします。
②任意後見契約内容の登記
金融機関での取引や不動産の売買契約、介護サービス利用契約など、後見人が本人の代わりに手続きをする場合には、その人が後見人だという公的な証明書が必要になります。
その公的な証明書が、「後見登記事項証明」です。
この「後見登記事項証明」は、法務局で登記をすることで全国の法務局・地方法務局で取得することができます。
法務局での登記は、①の契約が締結されると、公証人が嘱託で行います。
③家庭裁判所への任意後見監督人の選任申立て
本人の判断能力が衰えてきたら(明らかに認知症が進行してきた場合)、家庭裁判所へ任意後見監督人の選任の申立てを行います。
この後見監督人とは任意後見人の業務を監督する人で、弁護士・司法書士・社会福祉士などが選ばれることが多いです。
④効力の発生
任意後見監督人が選ばれたら、後見業務のスタートです。
具体的には、選ばれた任意後見監督人とまずは面会をします。
その後でも良いので、②の登記事項証明を取得し、金融機関などで「任意後見人の届出手続き」を行ったあとに、後見人として活動をすることができます。
今後の活動は、定期的に監督人に報告する必要があります。つまり、任意後見監督人の監視のもとで支援を行います。
任意後見に関わる費用

任意後見は、①契約を結ぶときと②効力発生後の2段階で費用が掛かります。
①契約を結ぶときに係る費用
- 公証役場の手数料・・・1契約11,000円
- 法務局に支払う印紙代・・・2,600円
- 法務局への登記嘱託料・・・1,400円
- 郵送代・・・約540円
- 正本、謄本の作成手数料・・・1枚250円
このほか、本人は印鑑証明書・戸籍謄本・住民票を、支援をする人は印鑑証明書・住民票を取得する費用が掛かります。
②効力発生後
- 任意後見監督人の選任申立て費用・・・収入印紙800円+1,400円+郵送代
- 任意後見に対する報酬(無償でも可)
- 任意後見監督人の報酬(報酬は、家庭裁判所が決めます)
まとめ
今回は、任意後見制度について解説してきました。
大事なポイントは、次のとおりです。
・任意後見を利用する流れは大きく分けて4つ
・契約を結ぶときと効力発生後の2段階で費用が掛かる
当事務所では、後見・相続・遺言書についてのご相談は、初回無料としております。
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