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4.52021
一般社団法人とは?今さら聞けない【一般社団法人の基礎知識】

「一般社団法人とよく聞くけど、詳しいことを知らない」
そんな疑問にお答えします。
この記事を読むと、一般社団法人の設立の仕方や、他の法人との違い、設立後の手続きが分かります。
この記事を書いている私は、令和元年11月に熊本県八代市で行政書士として独立開業しました。開業当初から、起業支援(会社設立・融資・補助金)に力を入れています。
そんな私が、一般社団法人についてお伝えしていきます。
一般社団法人とは?
社会貢献事業を行う団体がありますが、法人格を持たない任意団体だと、法人名義の財産を所有したり登記をすることができないので、法人設立を考えられるケースが多いです。
そこで、よく選択されるのが「一般社団法人」です。
一般社団法人とは、「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立される社団法人のことです。
この一般社団法人で設立する場合には、次のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
- 事業目的に制限がないので、収益事業を行うことができる
- 短期間で事業を開始できる
- 社員2名からでも設立が可能
- 監督官庁への報告等の書類作成が不要
- 出資金が変則不要
- 登録免許税が6万円と安い(株式会社は15万円)
- 「非営利型法人」の要件を満たすと、税法上の優遇を受ける
- 法人名義で銀行口座を開設できる
- 不動産登記ができる
デメリット
- 一般社団法人から、さらに信用力のある公益財団法人になるには高いハードルがある
- 剰余金(企業が生み出した利益を積み立てたお金)を社員に分配できない
上記にあるような、税制面で優遇されるというメリットがある法人として、他にも「NPO法人」があります。
2つの違いを確認してみましょう。
一般社団法人 | NPO法人 | |
設立手続き | 設立登記のみ | 所轄庁の認証後、設立登記 |
資本金 | 不要 | 不要 |
設立者数 | 社員2人以上 理事1人以上 |
社員10人以上 理事3人以上・監事1名以上 |
設立に必要な人数 | 最低2人以上 | 最低10人以上 |
費用 | 約12万 (定款認証、謄本作成代52,000円・登録免許税60,000円) |
不要 |
所轄庁 | なし | 都道府県又は指定都市 |
認定・認証 | なし | あり(認証) |
設立期間 | 1週間~2週間 | 5カ月~6カ月 |
税法上のメリット | 一部あり | 一部あり |
所轄庁報告義務 | なし | あり |
それぞれ法人のメリット・デメリットがあるので、事業目的や将来のビジョンを考えたうえで、最適な法人形態を選ぶと良いでしょう。
人の集まりに法人格を与えたものが一般社団法人、財産の集まりに法人格を与えたものが一般財団法人です。
設立の手順
一般社団法人の設立の大まかな流れは次のとおりです。
- 設立の発起・基本事項の決定
- 定款の作成
- 公証役場にて定款の認証
- 法務局に設立登記申請
- 登記完了
ここでは、②の定款作成についてお伝えしていきます。
定款とは、商号や住所、目的等の①基本的な事項、組織や意思決定方法等の②運営上の事項等を定めたものです。
この定款には、「絶対に記載しなければならないこと(絶対的記載事項)」、「決めても決めなくてもよいけど、決めたなら定款に記載しないと有効にならない事項(相対的記載事項)」、「決めても決めなくてもいいうえに、決めたとしても定款に記載してもしなくていい事項(任意的記載事項)」があります。
絶対的記載事項
- 事業目的(事業の内容)
- 名称(法人名)
- 主たる事務所の所在地
- 設立時の社員の氏名又は名称及び住所
- 社員資格の得喪に関する規定
- 公告方法
- 事業年度
1つでも記載漏れがあると、定款自体が無効になるので注意しましょう。
相対的記載事項
下記は、定款の相対的記載事項の例です。
- 社員の経費支払い義務
- 社団における理事会、監事又は会計監査人の設置
- 退社事由
- 理事及び監事の任期の短縮
- 理事会の決議の省略
記載漏れがあっても定款自体が無効になることはありません。
しかし、相対的記載事項とされている事項が定款に記載されていないと、その内容についての効力が発生しないので注意しましょう。
任意的記載事項
下記は、定款の任意的記載事項の例です。
- 社員総会の招集時期
- 社員総会の議長
- 役員等の員数
- 理事や監事の報酬
- 残余財産の帰属
- 清算人
任意的記載事項は定款に記載する義務はありませんが、定款内で定めることで明確になり、社員への周知徹底にもなるので、記載することをお勧めします。
定款の作成は、数日から数週間程度かかる場合があります。
設立希望日から逆算して、スケジュールを組んでおくと良いでしょう。
設立後の手続き
法務局に登記申請を行ってから、1週間から2週間程度で登記が完了します。
そこからいよいよ、一般社団法人としてのスタートです。
設立後は、次のように必要な諸手続きがあります。
- 税務署・年金事務所等への届出
- 銀行口座の開設
- 事務所や店舗の賃貸契約
以上の手続きには、登記事項証明書と印鑑証明書が必要になります。
各種手続きを行う前に、必要書類を準備しておくと良いでしょう。
下記より、登記事項証明書交付申請書と印鑑証明書交付申請書がダウンロードできます。
必要書類を準備したら、税務署・都道府県事務所・市区町村役場に税金に関する届出をする必要があります。
その他に、従業員を雇う場合には年金事務所・労働基準監督署・ハローワークに各種書類を提出しなければなりません。
設立後に時間が取れない場合は、税理士や社会保険労務士に相談するのも良いでしょう。
まとめ
今回は、一般社団法人を中心にお伝えしていきました。
大事なポイントをまとめると、次のとおりです。
- 法人設立を考えるとき、一般社団法人とNPO法人は比較されやすい
- 定款には「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」がある
- 設立後にも必要な諸手続きがある
設立前だけでなく、設立後にも必要な作業があります。
スムーズな運営がスタートできるように、計画的に進めていきましょう。
