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障害福祉事業の指定を受けるための人員配置とは?「常勤換算」の計算方法も解説

障害福祉事業の指定を受けるための要件として人員配置があるらしいが、どんな人が何人必要?人員配置基準を知りたい!常勤換算の計算方法を解説してほしい!

こんなお悩みを解決します。

この記事では、人員配置基準・サービス毎の人員配置・常勤換算の計算方法について解説しています。

✔本記事の信頼性

本記事を書いている私は行政書士歴4年です。開業当初から障害福祉サービス事業の指定申請に力を入れており、就労継続支援A型・B型の開設を手掛けてきました。

今回は、障害福祉事業の指定を受けるための要件の一つである、人員配置基準についてお話していきます。

これから障がい福祉サービス事業を始める方の中には、人員配置や常勤換算の意味が分からずに、なかなか前に進まない方もいらっしゃるかと思います。しかし、これらの意味が分かれば、指定申請までに近づくことができます。

それでは、障害福祉事業の指定を受けるための人員配置基準について解説していきます。

人員配置基準とは?

人員配置基準とは、能力や資格、配置する人数等に関する基準のことです。

障がい福祉事業の指定を受けるためには、要件があります。

その要件の1つが人員配置で、指定申請をするときはもちろん、指定を受けて事業をスタートしてからもこの人員基準を守る必要があります。
「この事業所には、この資格を持っている人を〇人以上置いてくださいね」という基準が決められているのです。

たとえば、就労継続支援A型サービスの人員配置基準は、下記のようになっています。

管理者1名以上
サービス管理責任者1名以上あり
職業指導員10:1 (常勤換算で利用者数を10で除した数以上) または 7.5:1 (常勤換算で利用者数を7.5で除した数以上)職業指導員と生活支援員のどちらか1名は常勤
生活支援員10:1 (常勤換算で利用者数を10で除した数以上) または 7.5:1 (常勤換算で利用者数を7.5で除した数以上)職業指導員と生活支援員のどちらか1名は常勤

障がい福祉事業の人員配置の考え方が分かりにくくて、「よく意味が分からない」と言われる方もいらっしゃいます。
理由は、上表にも書いてある「常勤換算」という言葉がそう思わせているようです。

「この事業所には、2人以上置いてくださいね」というのが一般的で分かりやすいですよね。

でも、障がい福祉事業の一部のサービスでは、「常勤換算」して人員を配置する必要があります。
この人員配置について、次の章で解説していきます。

常勤換算の計算方法

障がい福祉事業には、様々なサービスがあります。
その一部のサービスに、この「常勤換算」という言葉が出てきます。

常勤換算とは、働いている人達を単純に数えるのではなくて、それぞれの労働時間を出して、その時間を人数に換算することです。

働き方には、正社員の他にも契約社員やパート、アルバイトなどがあります。
それぞれ労働時間がバラバラなのに、みんな同じ「1人」とみると、現場では人が足りない(基準を下回る)ことになりかねません。
なので、労働時間の少ない従業員を「常勤職員〇人分ですよ」と換算するのです。

たとえば、下記のように正社員AさんとパートBさんの2人がいたとします。

Aさん:1日8時間の週5日勤務
Bさん:1日6時間の週4日勤務

Aさんは、1ヵ月で160時間勤務になり、事業所の勤務すべき時間数です。この数字が基準となります。
Bさんは、1ヵ月で96時間勤務になり、下記の計算式で常勤換算します。

96時間÷160時間=0.6(人)

Bさんを常勤換算すると、常勤0.6人分になります。
つまり、単純に数えると「2人」ですが、常勤換算すると「1.6人」ということになります。

このように、2人以上の人員が必要な場合に、「職員が2人いるから基準を満たしている」と安心しても、常勤換算すると1.6人になり人員配置基準を満たしていない可能性もあります。

人員配置基準は、指定を取る時だけでなくて、指定を取って事業をスタートしてからもずっと守る必要があります。
計算式を覚えると簡単なので、苦手意識を持たずにきちんと確認していただきたいポイントです。

サービス毎の人員配置

障がい福祉事業にはたくさんのサービスがあり、それぞれのサービスによって人員配置は違います。
ここでは、一部のサービスの人員配置基準を紹介します。

生活介護サービスの人員配置基準

職種配置数常勤要件
管理者1名以上 
サービス管理責任者1名以上あり
生活支援員1名以上1名以上は常勤
看護師1名以上なし
医師嘱託でもOKなし
理学療法士、作業療法士等必要な場合は配置 

共同生活援助(グループホーム)の人員配置基準

職種配置数常勤要件
管理者1名以上あり
サービス管理責任者1名以上なし
生活支援員1名以上なし(日中サービス支援型は生活支援員、世話人のうち1人は常勤)
世話人1名以上なし(日中サービス支援系は生活支援員、世話人のうち1人は常勤)
夜間従事者1名以上なし

就労移行支援の人員配置基準

職種配置数常勤要件
管理者1名以上 
サービス管理責任者1名以上あり
就労支援員15人に1人 (常勤換算で利用者数を15で除した数以上)なし
職業指導員6人に1人 (常勤換算で利用者数を6で除した数以上)職業指導員、生活支援員のうち1人は常勤
生活支援員6人に1人 (常勤換算で利用者数を6で除した数以上)職業指導員、生活支援員のうち1人は常勤

就労継続支援A型・B型の人員配置基準

職種配置数常勤要件
管理者1名以上 
サービス管理責任者1名以上あり
職業指導員10:1 (常勤換算で利用者数を10で除した数以上) または 7.5:1 (常勤換算で利用者数を7.5で除した数以上)職業指導員と生活支援員のどちらか1名は常勤
生活支援員10:1 (常勤換算で利用者数を10で除した数以上) または 7.5:1 (常勤換算で利用者数を7.5で除した数以上)職業指導員と生活支援員のどちらか1名は常勤

まとめ

今回は、障害福祉サービス事業をするための人員配置について解説していきました。
大事なポイントをまとめると、次のとおりです。

・人員配置基準とは、能力や資格、配置する人数等に関する基準のこと
・常勤換算とは、労働時間の少ない従業員を「常勤職員〇人分ですよ」と換算すること
・それぞれのサービスによって人員配置は違う

障がい福祉サービス事業の準備は、法の規定も手続きも複雑でなかなか分かりにくいものだと思います。ご自身で時間を掛けて検討されるよりも、専門家に聞いた方が早いし確実です。

「要件に該当しているかだけでも知りたい」という相談だけでも構いません。
障がい福祉サービス指定申請を検討されている方は、お気軽に当事務所にご相談ください。

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