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【熊本豪雨災害2020】施設・設備の復旧、整備のためのなりわい再建補助金を解説

豪雨災害で設備が壊れてしまった

補助金を使って復旧させたい

補助対象はどんなものだろう?

とお困りではないですか?

この記事を読むと、令和2年7月の豪雨災害で壊れてしまった設備や施設の復旧、整備を支援する補助金、「なりわい再建補助金」について知ることができます。

この記事を書いている私は、令和元年11月に熊本県八代市で行政書士江尻有希事務所を開業しました。
開業当初から、創業・起業サポート、補助金申請サポートに力を入れています。

そんな私が、なりわい補助金について解説していきます。

令和2年7月豪雨災害 なりわい再建補助金とは?

令和2年7月の熊本豪雨災害では、熊本県南を中心にとても大きな被害を受けました。

壊れてしまった設備や施設を直すには、多額の費用が掛かります。
そこで、その復旧・整備にかかった経費の一部を国と県が交付してくれることになりました。
その交付されるお金が「なりわい再建補助金」です。

一般的な補助金と違うところは、遡って適用されることです。

例えば、7月の豪雨災害の後に施設や設備を直したとします。
その時期が、このなりわい再建補助金の交付決定日前だったとしても補助対象として認められる場合があるというのです。

中小企業者の場合、修理に使った費用の4分の3以内が補助されて、1事業者当たりの補助金額の上限は15億円です。
すでに修理をした場合でも修理を検討中の段階でも、しっかりと要件を確認して再建のために補助を活用していただきたいと思います。

交付を受けるまでの流れと必要書類

補助金を受けるには、県へ補助金交付申請を行う必要があります。
その申請書をもとに審査があり、交付決定された事業者が補助を受けられます。

大まかな流れは次のとおりです。

①熊本県がなりわい再建補助金の募集を開始
②事業者が補助金交付申請を熊本県へ提出
③採択か不採択かの審査
④採択されると交付決定

必要書類

補助金交付申請の主な提出書類は次のとおりです。

また、すでに修理したため遡って申請したいときの必要書類もあわせて確認してみましょう。

これから修理する場合の必要書類
必要書類 補足
1.補助金交付申請書、補助事業計画書
2.県税の未納がないことの証明書 各県税事務所所で取得ができます
3.財務諸表(直近1年分) ・貸借対照表及び損益計算書
・確定申告書の写し
・収支計算書など
4.見積書一覧表 施設と設備、それぞれに作成します
5.施設、設備の復旧に係る見積書の写し 原則2社以上に見積りを取って、安い業者を選びます
※2社以上の見積りが取れないときは見積書不足理由申立書が必要になります
6.施設、設備の位置図及び敷地内配置図など
7.新しい施設の位置図、敷地内配置図、用途、構造、面積の分かる詳細図 建て替えを行う場合に必要です
8.設備の入替えを行う場合は、修理不能であることの証明書、設備比較証明書 入れ替える前の設備と同等である必要があるので設備比較証明書が必要です

申請の内容によっては上記以外の書類が必要となる場合があります

すでに修理した場合の必要書類
必要書類 具体例
被災した施設、設備の所有証明、利用証明 ・被災したことが分かる写真
・申請者の所有物であることを証明するもの(固定資産台帳、登記簿など)
・業務上使用していたことを証明するもの(整備記録など)
見積書 ・原則、2つ以上の見積りが必要です
※見積書がない場合は、理由書
例)早期の復旧が必要で、すでに購入したなど
復旧後の施設、設備についての同等性証明 ・被災した施設、設備の性能などを証明するもの(設計図など)
・同等性を証明する設備比較証明書は、民間専門業者(メーカー、販売店)が出したもの
車両を入れ替える場合における廃棄証明 ・永久抹消登録や使用済自動車取引証明書が必要です
※修理不能証明書がないと入替不可
※通常の抹消登録ではなくて、「二度と走りません」と届けたもの

どんな人・モノが対象になる?

補助対象業者

補助対象事業者は、区分が決まっていてその区分によって補助率も違います。

大企業 補助対象外
中堅企業 補助率1/2
中小企業者 補助率3/4

補助率が3/4と一番高い中小企業者の定義は次のとおりです。

製造業その他 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は、 常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は、 常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は、常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は、常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

中小企業者の定義を踏まえ、中堅企業は中小企業者以外の事業者で資本金又は出資金が10億円未満、大企業は中小企業者以外の事業者で、資本金又は出資金が10億円以上の事業者となります。

補助対象とならない事業者については次のとおりです。

  • 暴力団又は暴力団員等に該当する者
  • 県税を未納の者
  • 特定の風俗営業事業者

補助対象経費

補助対象となる経費は令和2年7月の豪雨によって、施設や設備が壊れたり継続して使うことがむずかくなったものを復旧、整備するために必要な経費です。

例えば次のようなものが対象になります。

登記してある施設 事務所・倉庫・加工施設・販売施設・原材料置場・共同作業場など
資産計上している設備 事業のために使用する設備

反対に、次のようなものは対象になりません。

  • 令和2年7月の豪雨が原因ではないもの
  • 寮や休憩室、事務用品など事業の目的以外で使われる可能性が高いもの
  • リース物件(リース事業者が申請を行うのはOK)
  • 税金など

修理する施設や設備に保険をかけていた場合、それらに支払われる保険金を差し引いた残額に補助率を掛けた額が補助金額になります。

(例)建物を復旧するのに必要な経費が1,000万円のケース(中小企業者の場合)

まとめ

今回は、2020年豪雨災害によって被害を受けた、事業者様向けの補助金について解説しました。
ポイントをまとめると次のとおりです。

  • すでに修理したものでも認められる場合がある
  • さかのぼって申請する場合は、別に必要書類がある
  • 対象事業者は区分によって決まっていて、補助率もちがう
  • 保険金を差し引いた額が対象になる

このなりわい再建補助金は、書類を集めるのにかなりの時間が掛かります。
購入先の業者と何度も連絡を取る場合もありますし、申請後にも県とのやり取りが複数回続きます。
あまり時間を掛けずに申請をしたいとお考えの場合は、専門家に相談するのも一つの手だと思います。

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